
自分で自分のことを、「価値がない」と思うことはないだろうか。
私はある。しかも、けっこうな頻度でそう思ってしまう。
理由ははっきりしない。けれど、心の奥底に、無力感のようなものがずっと居座っている──そんな感覚がある。
そんなときに手に取ったのが、『「自分には価値がない」の心理学』という本だ。
- なぜ「自分には価値がない」と感じてしまうのか
- どうすれば、その感覚から抜け出せるのか
本書はそのメカニズムと対処法について、具体的なエピソードを交えながら語ってくれている。
この記事では、実際にこの本を読んだ私が、
- 書かれている内容の要約
- どんな人におすすめの本か(=私が手に取った理由も含めて)
- 特に印象に残った一節と、そこから考えたこと(感想)
を順に紹介していく。
『「自分には価値がない」の心理学』をギュッと要約(約900字)
自己肯定感の悩みとは、その根底にある「自己無価値観」(=自分には価値がないと思うこと)の問題である。
人は「自分には価値がある」と実感したいものだが、
- 生まれついた資質
- 育った環境や境遇
- 体験してきたこと(失敗や挫折、いじめ、DVのような強い体験に限らず、日常の会話やちょっとした出来事も含まれる)
こうした要素によって、少しずつ「自分には価値がない」と思うようになっていく。
ここで重要なのは、「思うようになる」という点だ。これは事実ではなく、あくまで“解釈”の問題である。
著者は、「不幸は自分自身の作品である」と述べている。
自分の気持ちや性格も、すべては自ら選択してきた結果にすぎない。今の自分とは、過去の選択の積み重ねでできている。
たとえば、親が何でもやってくれるタイプであった場合、「大事にされた」と思う人もいるし、「自分が無力だから、親がやってくれている」と、受け取る人もいる。
感情を決めるのは、出来事そのものではない。出来事をどう受け止めるか──その受け止め方が、感情を生み出している。そしてその「意味づけ」は、たとえ無意識であったとしても、自分自身が選んでいるものなのだ。
「存在するだけで価値がある」
「あなたには無限の価値がある」
──そうした言葉がよく語られるが、実際に苦しんでいるときにおいて、それらは単なる綺麗事しかなく、心に響くことはない。だがそれでも、自分の長所を認識し、愛おしむことが自己価値感を作るはじめの一歩となる。
そもそも、本書に関心を持つような人は、献身的で、他者に対して思いやりや共感のできる、内面に魅力的で豊かな価値を持っていると、著者は述べている。
無価値感から脱するためには、
- 自分自身を愛おしく思うこと
- 逃げずに、できる範囲で行動してみること
- 自分の中に残る「子ども」に別れを告げること
- 仕事に打ち込んでみること
- 周囲の人を大切にし、感謝すること
こうした行動を、できることから少しずつ始めていくことが重要だ。自分に対する信頼は、一朝一夕には育たない。スポーツと同じように、簡単なことから始めて、小さな「できた!」を積み重ねていくことで、徐々に築かれていくのだ。
傷つきやすい人におすすめの本
タイトルの通り、「自分には価値がない」と感じている人に向けて書かれた本だと感じた。
前半では、なぜそう思ってしまうのか、その背景やメカニズムを、具体的な事例とともに丁寧に解説している。
後半では、無価値感から脱するための考え方や行動について、こちらも例を交えながら提案してくれる。
また、自己価値感は子どもの頃の体験や、親との関係性によって大きく影響されることが語られている。その点からも、子育て中の人にも読んでほしいと思った。実際、私も親として「気をつけなければ。。」、と思うことがそれなりにあった。
私自身、「どうせ自分なんて…」という気持ちを抱えることがある。
たとえば、周囲と比べて収入が低いことに強いコンプレックスを感じている。
会社員としての収入はパッとしないし、副業にチャレンジしてもうまくいかない。このブログを始める前にも、別のブログやnoteに取り組んでいたが、ほとんど収益は上がらなかった。
自分が「価値を生み出せていない」と感じるとき、私はそのまま「自分には価値がない」と思いがちになる。
実際には、「価値を生み出せていないこと」と「価値がないこと」は別のことなのかもしれないが、私の心の中ではいつも強く結びついてしまう。
だからこそ、この本のタイトルが、自分のことのように思えたのだ。
印象に残った一節
ここからは、私が特に印象に残った一節と、それについて考えたことを書いていく。
傷つくとは、自分に価値があるという感覚が侵されること
心に無価値感を抱えている人ほど傷つきやすい。なぜなら、傷つくということの本質は、自分に価値があるという感覚が侵されることだからである。p24
この一節はとても印象に残っている。
「傷つく」とは、ただ嫌な気分になるということではない。「自分の価値が毀損された」と感じてしまうことなのだ──そう言われて、思い当たることが多すぎた。
たとえば日常の何気ない会話でも、それが自己価値感を揺さぶるようなものであれば、人は「傷ついた」と感じてしまう。
自己価値感が弱い人ほど、外部からの言葉や態度に対して敏感になりやすい。つまり、外からのちょっとした刺激で大きく揺さぶられてしまう。まさに私がそうだった。
強く思い出す出来事がある。小学1年生のころ、好きなものの話をしたとき、相手にバカにされたことがあった。
それ以来、私は「自分の好きなもの」を人に話すのがとても苦手になった。今も、信頼できる人にしか、そういった話をしない。
一方で、私の周囲にはまったく逆の人もいた。とても自然に自己開示をして、「こんなに自分のことを話せるなんてすごいな」と思った。少し羨ましい、と感じた記憶が今でも残っている。
私は、自分でも自己価値感が低い人間だと思う。誰かが褒められているのを見ると、素直に賞賛することができず、「自分には能力がない」とか「自分は劣っている」といった形で受け取ってしまう。いわゆる「認知の歪み」がある。
この本を読んで、自分にはそうした思考のクセがあるのだと、あらためて気付かされた。薄々感じてはいたものの、こうして言語化されて提示されることで、はっきりと認識できた気がする。そのことだけでも、この本に出会ってよかったと思っている。
心もとなさ、頼りなさ、無力感などは、子どもの心にとどまっていることに大きな原因がある
もう1つだけ、印象に残っている一節がある。
心もとなさ、頼りなさ、無力感などは、子どもの心にとどまっていることに大きな原因がある。(p116)
この一節を読んで、はっとさせられた。
何かがうまくできなかったとき、自信が持てないとき、私は心がギュッと握りつぶされたように萎縮し、不安になることがある。
それは、幼いころに迷子になったときのような、急に一人取り残されるような感覚に近い。
昔よりはマシになったが、今でも仕事で電話をかけるときなどに、似た感覚に陥ることがある。これが、子どもの頃に感じた無力感とつながっているとは知らなかった。でも、言われてみればたしかに、そうかもしれない。
年齢は重ねてきたけれど、心のどこかにまだ、無力な「子ども」が残っているのだろう。そこに気付けたのは良かったと思う。
自分の幼さを否定せずに受け止めつつ、そこから少しずつ前に進んでいけるようになりたい。
まとめ
「自分には価値がない」と感じる瞬間は、誰にでもある。でも、その感覚の正体が「思い込み」や「過去の解釈」にすぎないかもしれないと、本書は教えてくれる。
誰かに言われた何気ない一言、昔の出来事、失敗した経験。それらは確かに現実だったとしても、「だから自分には価値がない」と決めつける根拠にはならない。
そんなふうに感じてしまう自分に気づき、その原因をひも解いていくこと。そして、「自分を丁寧に扱う」という行動を、小さくても少しずつ積み重ねていくこと。それこそが、自己価値を回復するための第一歩なのだと感じた。
この本は、今すぐ劇的に自信を持たせてくれるような本ではない。むしろ、突き放すような、正しくも厳しい言葉が随所に出てくる。
「不幸は自分自身の作品である」
「裏切られて落ち込むのも、自分の選択だ」
こうした言葉を読んで、「そんな簡単に割り切れないよ」「じゃあ、どうすればよかったんだよ」と思う人もいるかもしれない。正直、私も最初はそう感じた。
けれど、読み進めていくうちに、不思議とその言葉にも温かさを感じるようになった。責めるのではなく、「できることを積み重ねていこう」とそっと背中を押してくれるような感覚。
読み終えたあと、ほんの少し前を向いてみようと思える──そんな一冊だ。
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