行動したい思いはある。でも最初の1歩が踏み出せない。
そんな感覚はないだろうか。
そんな人におすすめな本が、「不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法」だ。
人はどうしても理想を追い求め、完璧を目指してしまう。だが、その完璧主義が、不安や疲れの種になってしまうこともある。
本書は、完璧主義を手放すことで、心が軽くなり、その結果新しいことに取り組めたり、以前よりも成果を得ることができる、と述べている。
この記事では、実際にこの本を読んだ私が、
- 書かれている内容の要約
- どんな人におすすめの本か
- 特に印象に残った一節と、そこから考えたこと(感想)
を順に紹介していく。
「不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法」をギュッと要約(約850字)
人はいつか必ず死ぬ。
人生は途切れない瞬間の積み重ねでできており、私たちは毎回、その一瞬ごとに多くの選択肢の中から、たったひとつを選び取っている。その選択は必ず痛みをともない、後戻りはできない。どの道を選んでも心はすり減るし、望んだ未来が必ず手に入るわけでもない。
まずはこの現実を認めること──そこから不完全主義は始まるのだ。
不安や問題が生じるのは日常の一部である。「自分にはどうにもならないもの」が存在している以上、必ず発生する。不安や問題とは、そもそも自分の力が及ばない領域の出来事なのだ。
それらを「克服できるもの」と捉えるのは悪くないが、この考えは無意識にプレッシャーを与えることにもなる。「できる」と思っていることが「できなかった」ときの落ち込みは激しいし、仮にできたとしたら、同じレベルの困難が次に訪れたとき、できることが当たり前になる。これを繰り返していくと、プレッシャーはどんどん重くのしかかってくる。
どれだけタスクをこなしても、仕事は減らないし、自信がつくわけでもない。むしろ精神は摩耗していく──あなたもこのような感覚に覚えがあるはずだ。
しかし不完全主義の人は、「できない」ことを認めて受け入れるのだ。自分の限界を受け入れ、そのうえで、自ら飛び込んでいく。自分の力が及ばないことを認識したうえで飛び込むと、いい具合に力は抜けた状態になる。
すると逆説的だが、心が軽くなり、思いがけない豊かさが手に入る。
深い経験というのは、混沌に飛び込んだときに生まれる。どんな結果になるかは事前に分からないが、自分の限界に直面したときの向き合い方と選択、その積み重ねがあなたの人生を形づくる。
過去には戻れないし、未来のことは分からない。それらに思いを馳せることが悪ではないが、「今」に没頭することの方が大事ではないだろうか。「今」は、やがて振り返れば過去になる。そして、まだ形のない未来へもつながっている。今、この瞬間を大切にすべきなのだ。
頑張りすぎて、しんどくなっている人におすすめの一冊
この本が伝えているのは、
「もっと生産的に、もっと効率的に」と走り続けることをやめたときに初めて見えてくる、思いがけない豊かさ。
そして、不安や問題をすべて解決しようとせず、「自分の力が及ばないものがある」と理解したときに得られる、心の軽さである。
だからこそ、この本はこんな人におすすめだ。
- 不安が多くて、なかなか一歩を踏み出せない人
- 前向きに頑張ってきたが、壁にぶつかり突破のイメージが持てない人
- 頑張りすぎて疲れてしまった人
- どれだけ仕事をしてもタスクが減らず、うんざりしている人
私自身、とても不安を感じやすい。どうにかそれを解消しようとあれこれ考え、かえって心をすり減らしてきた。
だが、この本を読んで気づいたのは──「不安をコントロールしようとすること自体が間違いだったのかもしれない」ということだ。
不安とは、そもそも自分の力が及ばない領域にあるからこそ生まれる。だから不安を「なくす」のではなく、「受け入れる」。そのとき、ようやく心は軽くなり、一歩踏み出しやすくなる。
印象に残った一節と感想
何も手をつけないでいるかぎり、理想が損なわれることはない
スタートの瞬間は何だって無限の可能性に満ちている。何も手をつけないでいるかぎり、そのプロジェクトの理想が損なわれることはない。純粋な可能性の世界で、完璧な完成系を夢見ていられる。p93
大きな仕事を始めるときには、なめらかで少々ぼんやりしたイメージが頭に浮かぶ。ところが実際に取り組んでみると、それまで見えなかった欠点や思いどおりにいかない点、面倒な作業なんかが見えてくる。p95
この一節が語っているのは、未来を思い描くときに私たちが持つ「ぼんやりした理想」と、実際に行動したときに直面する「現実のギャップ」だ。
富士山を遠くから眺めているときは美しく、登れば爽快だろうと想像できる。だが、いざ歩き出せば道は険しく、想像以上に長い道のりが待っている。
目標との距離が近づくにつれて、現実の姿が明らかになり、予見出来なかった問題が立ちはだかる。
けれどもそれは「人間の見通しは甘いのが当たり前だ」と理解しておくべきなのだ。
私もこうやってブログを書いている。本を読むこと、読んだ後にあれこれ頭の中で考えること、それをアウトプットすること、それがとても楽しい。それでお金が稼げたら、なんて最高なんだ、と胸躍らせながら始めたものだ。
しかし、始めてみれば収益が上がるまでには長い道のりであることに気付く。需要を考えたり、記事の設計を練ったり──思い描いたよりもずっと手間がかかる。けれども、その壁にぶつかるからこそ、普段読まない本との出会いや、新しいアイデアが生まれてくるのだ。
新しい職場に入るときや、好きなことを仕事にしようとする場面──理想と現実の差は必ず現れる。だからこそ、その前提を受け入れたうえで一歩を踏み出すことが大切になる。
また、違う視点から考えると、どれだけ思案を重ねても正確な見通しなど立てられない。だからこそ、まずはゆるく計画を立てて、とりあえず動き出してみる──その姿勢が大事なのだろう。
完璧な仕事はけっしてできない
マリ・キュリーも言うように、人は自分の達成を測るとき、まだできていないあらゆる可能性と比較してしまう。でもそんなふうに物事を見るかぎり、僕らは永遠に「何かが足りない」という感覚から逃れられない。p55
日々の活動は、見えない合格点になんとかして近づくための苦行である必要はない。すでに僕らは充分な存在だ。その事実を楽しむように行動する、そんな生き方もありなのだ。p56
完璧な仕事はこの先もけっしてできないだろう。だからこそ、今できるなかでベストの仕事をしたほうがいい。p30
この一節は、陥りやすい思考の罠について書かれていると感じた。
人は「まだ足りないもの」と比べることで、自分の達成を矮小化してしまう。ゴールまでの距離で測る限り、常に不足感が残るのだ。
やることリストは、その典型だ。書き出せば書き出すほど「まだ足りていないこと」を突きつけてくる。タスクは次々と積み上がり、やがてうんざりしてしまう。
この思考に陥るのは、完璧を目指すからなのではないか、と読んでて思った。完璧を目指すからこそ、「足りない」部分に目がいくのだ。
私は、細かいことが気になるタイプだ。仕事でも細部までまでこだわって完了させたいと思ってしまう。その性格もあって、やることリストはすぐにいっぱいになってしまっていた。
本書ではやることリストではなく、やったことリストを作ることを推奨している。こうすると目に映るのは、「足りていないもの」ではなく「積み上がった成果」になる。
足りない部分ではなく、積み上げた成果を見る。そういう小さな視点の転換が、日々の仕事を前向きにするのだと思う。
私は付箋にタスクを書いて、終わったら捨てて…というようにしてきた。だが最近はノートにやることリストを書くようにしている。ノートなので、1つ2つタスクを完了させても捨てることはない。そうすると今日終わらせた仕事を見返すことができる。明日のやることリストを書きながら、やり切った仕事も確認できるようになり、一日を気持ちよく終えられるようになった。
少し視点を変えるだけで、日々の充実度は上がる。そんなことを教えてくれた一節だった。
まとめ
不安で動けなくなるのも、頑張りすぎて疲れてしまうのも、抱えているのは同じ根っこだと思う。
それは「すべてを自分でコントロールできるはずだ」という思い込みだ。
未来を確実にしようとして一歩を踏み出せなかったり、完璧を求めて背負い込みすぎてしまったり──形は違っても、どちらも「限界を超えて自分を追い込んでいる」状態だ
本書は、その思い込みをやさしく手放させてくれる。不安をなくす必要はないし、すべての問題を解決する必要もない。自分に出来ることは限られているのだ。
理想と現実のギャップに苦しんでいる人には、この本がきっと力になるはずだ。
心の重苦しさが、少しずつ和らいでいくだろう。
書籍情報
不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法
(著:オリバー・バークマン、訳:高橋 璃子)
かんき出版
- 2025年7月7日 第1刷発行
- 2025年7月22日 第2刷発行
※記事執筆時点の情報です。
【本好きの人に読んでほしい記事】