
「好きなことを仕事にできたら、きっと毎日が楽しいはず」──そう思ったことがある人は多いだろう。
けれど実際に仕事にしてみると、想像していた姿とは違う現実に直面することが少なくない。
この記事では、「好きなことを仕事にする」うえで気をつけたい注意点を整理する。これからのキャリアを考えるときに、参考になれば幸いだ。
好きなことも「需要」があってこそ仕事になる
仕事とは、他人に価値を与えて初めて成り立つものだ。どれほど「好き」や「得意」があっても、そこに価値を感じる人がいなければ独りよがりに終わってしまう。厳しいようだが、これが現実である。
さらに、需要とは移ろいやすい。今は求められていても、数年後には消えてしまうかもしれないし、その逆も起こり得る。好きなことを仕事にするなら、この「需要」という不安定さに翻弄される可能性があることは覚えておきたい。
また、多くの人は、「自分が面白いと思うものは他人も面白いと思うはず」という認識を持っています。しかし、特殊な才能を持つ人はその感性が人々とズレてることも多く、独自性を発揮する際に苦労することでしょう。
ゆるストイック p141より引用
仕事とプライベートの境が分かりづらくなる
「好き」を仕事にすると、休日も趣味の延長のようで、仕事とプライベートの境があいまいになりやすい。
私自身、ファッションが好きで、アパレルの仕事をしていたことがある。仕事の日は店頭に立ち、休みの日は他のお店を見に行ってディスプレイを参考にして──常にファッションのことを考えていた。楽しく充実していたが、休んだという気にはならなかった。
趣味だった頃は、休日にお店を巡るのが気分転換になっていた。しかし仕事にしてしまうと、どうしても仕事の目線が入り込んでしまう。
「休むときは休む」と自分で決めておかないと、知らず知らずのうちに摩耗してしまう。
上には上がいる
「好き」や「得意」を仕事にしたとしても、その道には必ず自分より上手い人、知識の深い人、成果を出している人がいる。最初は情熱だけで走れても、いざ市場に出れば比較は避けられない。周囲と比べて劣等感を抱いたり、自信を失ったりするのは珍しいことではない。
周囲との差を受け入れたうえで、それを埋めていく努力が必要になる。また、違う切り口からサービスや商品を企画するなどの工夫も求められる。
理想と現実の間には必ずギャップがある
理想と現実の間には必ずギャップがある。
富士山を遠くから眺めているときは美しく、登れば爽快だろうと想像できる。だが、いざ歩き出せば道は険しく、想像以上に長い道のりが待っている。目標に近づくほどに現実の姿が明らかになり、予想していなかった問題が立ちはだかる。
遠くのものは、ぼんやりとしか見えない。それは物理的な距離だけでなく、時間的な距離についても同じだ。
理想は理想のまま抱いていてよい。ただし、そこに至るまでには事前に想定できない壁にぶつかることも多い。
つまり──
- 始める前に、正確な見通しを立てることはできない
- 始めた後に、必ず新しい問題が出てくる
この2点を理解したうえで動き出したほうがよい。「好きなことを仕事にする」という言葉は輝いて聞こえるが、そのキラキラした理想だけに意識が向いていると、現実とのギャップに苦しみ、途中で挫折しやすくなる。
大きな仕事を始めるときには、なめらかで少々ぼんやりしたイメージが頭に浮かぶ。ところが実際に取り組んでみると、それまで見えなかった欠点や思いどおりにいかない点、面倒な作業なんかが見えてくる。
不完全主義 限りある人生を上手に過ごす方法p95より引用
まとめ
今回紹介した内容は、仕事をするうえで当たり前のことがほとんどである。だが、「好き」という感情が、その当たり前を見えなくしてしまう。「好き」という感情は、マイナスにも働くということを認識しておきたい。
そこを事前に知っておけば、「好き」という感情の落とし穴を避けることができるはずだ。