好きや得意を活かして起業・副業を始めても、思うように成果が出ない。多くの人がぶつかる壁だ。勇気を出して参入しても、競合は多く、そして強い。そんな環境で勝ち抜くには、他社にはできない「自分だからできる仕事」を生み出す必要がある。
そのためのヒントを与えてくれるのが、秋元祥治氏の「自分だからできる仕事のつくり方」だ。
本書は、観察と発想を駆使し、オリジナリティある「自分だからできる仕事」のつくり方を解説している。
この記事では、実際に本書を読んだ私が、
- 書かれている内容の要約
- どんな人におすすめか
- 印象に残った一節とそこから考えたこと(感想)
を順に紹介していく。
「自分だからできる仕事のつくり方」をギュッと要約(約1400字)
「自分にしかできない仕事」とは、自分の強みを基盤に、世の中を観察し、発想力を用いて生み出すものである。これは特別な才能ではなく、誰にでも再現可能な思考法だ。
本書では、
- 強みを見つけるための具体的なアプローチ
- 観察力を磨くための日常的な習慣
- 可能性を広げるための発想法
が解説されている。
自分だけの強みをどう見つけるか
強みを見つける上で重要なのは、「強みは相対的なものだ」という考え方と、「リフレーミング」、つまり視点を変える技術である。
相対的というのは、必ずしもナンバーワンである必要はなく、他者より少し秀でていれば十分だということだ。
視点を変えるとは、物事を別の角度から見ることである。例えば「大手企業の下請けしかしたことがない」という事実は、「大手企業の品質基準を満たす技術力がある」と視点を変えて捉えられる。
人は「できないこと」に意識が向きやすく、「できること」に気づきにくい。しかし「自分にしかできない仕事」をつくるためには、まず自分の強みを認識することが欠かせない。
観察から気づきを得る
観察に必要なのは、日常の中から多くの情報を拾い集めることだ。例えば書店で「投資」をテーマにしたコーナーが広がっている、コンビニやスーパーで「グミ」の棚が広くなっている、といった変化も観察の対象になる。普段から注意深く見ていれば、日常生活そのものが情報源になる。
さらに、まったく興味のないジャンルの本をあえて手に取ってみることも有効だ。自分の意識の外側にある世界に触れることで、新しい視点を得られる。ひらめきは、こうした観察から生まれることが多い。
タグ付けで広がる発想
発想のポイントは、具体から抽象へと観察の視点を移すことである。抽象化することで、個別の出来事から応用できる切り口や気づきを得られる。
方法としては、観察したものから特徴を抜き出し、タグ付けのように整理する。そのタグを手掛かりに他の事例や市場を考察することで、新たな可能性を見つけることができる。
例えば炭酸水は「業務用」「消費者向け」という二つのタグを持つ。同じ製品でも市場の切り口が変われば役割は異なる。この考え方を他の分野に適用することで、新しい視点を得られる。
本書では、自動車部品のメッキ加工を行っていた会社が、トラックの内装やパーツもメッキ加工を施し、デコトラ(デコレーショントラック)市場に進出していった事例が紹介されている。これは、既存の技術に新しいタグを付け直すことで新市場を切り開いた例である。(デコトラ市場は専門誌もあるほどの一定規模のマーケットである)
まとめ:スキルより大切なこと
「自分にしかできない仕事」を生み出す人に共通するのは、足りないものや困っていることを隠さず発信できる点である。弱みを見せ、誰かを頼ることを自然にできる人は、助けを得ながら新しい仕事を形にしていける。
多くの人にとって最初の壁は、「誰かを頼ること」にある。弱みを隠さず示せるのは、助けてもらえるという自己信頼感を持っているからだ。
そのためには、弱みを安心して話せる関係性を築くことも欠かせない。これもまた、自分だからできる仕事をつくるために必要な資質である。
起業・副業を考えている人におすすめの一冊
本書の著者は、愛知県岡崎市にある公的産業支援機関オカビズのセンター長を務め、多数の企業支援に携わってきた秋元祥治氏である。オカビズは累計相談件数が2万9000件を超え、新規事業や新商品につながった案件は1000件以上。NHKで「行列のできる中小企業相談所」と特集された実績もある。
こうした経験をもとに書かれた本書は、「自分だからできる仕事」をつくるためのスキルと考え方が詰まっている。おすすめできる読者は次のとおりだ。
- これから起業したい人
- すでに事業を始めている個人事業主
- 会社員で副業に挑戦してみたい人
私自身、書籍の要約をブログで発信しているが、そのスキルを別の形でも活かせないかと考えていたときに、この本と出会った。読んだことで新しいアイデアも浮かんだ。そのため、副業をしているが思うような成果が出ていない人にもおすすめできる一冊だ。
印象に残った一節と感想
他者との対話で自分の強みが見えてくる
「自己分析はひとりではできない」ということです。p74
自らの立ち位置から特性、得意不得意まで、振り返るには他者からの目線が欠かせません。p75
他者と対話を繰り返すことで、「自分が何者か」という輪郭が見えてきます。p75
この一節を読んだとき、私は友人に感謝されたエピソードを思い出した。過去に私が何気なくしたことを、友人は10年以上経っても覚えていて「本当に嬉しかった」と言ってくれたのだ。私はそのとき「そういえばそんなこともあったな」と思い出した程度だったが。
この体験からも分かるように、自分から見えていることは「自分の歴史」の一部分にすぎず、見えていない部分に、他人が恩や感謝を感じていることが多い。
つまり、自分の強みを見つけるには、こうした「自分では気づけない部分」を見える化する必要がある。そのために他者との対話が欠かせないのだと気づかせてくれた。
と同時に耳の痛い話だとも感じた。私はあまり人との対話が得意ではないし、「自分の強みや良いところはどこか?」と周囲に聞いて回るのも難しく感じる。
自分だからできる仕事を追求するうえで、また一つ課題が出てきたなという感じだ。
反響を楽しめるか
社会というのは「鐘」のようなもので、たとえ小さなアクションでも、打てば必ず何らかの反響が返ってきます。そしてその反響に対して、またアクションで応えていく。仕事をするというのは、その繰り返し(ループ)なのです。p107
この一節は心に刺さった。私が恐れているのは、この「反響」だ。反響とは、感謝の声であり、厳しいお叱りであり、商品やサービスに対するあらゆる意見である。
私は小さい頃から叱られることを強く嫌がってきた。その感覚が今も残り、新しいことに挑戦するときの枷になっていることに、薄々気づいてはいたが、この文を読んで改めてはっきり認識した。
それでも、最近は少しずつ恐れを受け入れられるようになった。怖さは消えていないが、それでも飛び込もうと思えるようにはなっている。
このように私は書籍の要約や感想をブログにまとめてきたが、今はその「要約」をサービスとして売り出してみようと考えている。どんな反響があるかは分からない。だが、飛び込んでみないと分からないのだ。恐怖を抱えながらも、自分なりに楽しんでみたいと思う。
まとめ
本書は、観察を軸に発想を効かせて「自分だからできる仕事」を生み出すためのスキルを紹介している。日常の変化に気づき、そこから新しい可能性を見出すための方法は、誰にでも再現できるものだ。
だが読後に最も心に残ったのは、周りを巻き込むことの重要性だった。弱みを開示したり、困ったときに素直に誰かを頼ることが、実は難しくも大切なことなのだと思う。
弱みを見せることを恐れず、他者の視点や対話を通じて自分を知る。そうして初めて「自分にしかできない仕事」の輪郭が形になっていくのだろう。本書は、スキルを磨くための一冊であると同時に、周囲との関わり方を問い直させてくれる本でもあった。
自分にしかできない仕事を見つけたい人、起業や副業に一歩踏み出したい人にとって、多くの気づきを与えてくれるはずだ。
書籍情報
自分だからできる仕事のつくり方(著:秋元 祥治)
ダイヤモンド社
- 2025年8月19日 第1刷発行
【本好きの人に読んでほしい記事】